努力は裏切るのでしょうか。
それとも、裏切らないのでしょうか。
『努力は自分を裏切らない』
そう語ったのは、競泳でオリンピック金メダルを獲得した北島康介選手です。
一方で、プロ野球界のレジェンド王貞治さんは、こんな言葉を残しています。
『努力は必ず報われる。もし報われない努力があるのならば、それはまだ努力と呼べない。』
さらに、メジャーリーグで活躍する大谷翔平選手は、こう語っています。
『努力は必ず報われるとは限らない。でも、成功している人は必ず努力している。』
どの言葉にも、長年トップで戦ってきたからこその重みがあります。
そして、こうした言葉や考え方は選手によってさまざまです。どれが正しい・間違っているというものではなく、それぞれの経験から生まれた大切な価値観です。
私自身も、そうした言葉を否定したいわけではありません。ただ、現場で多くの選手と関わる中で、こう感じる場面が何度もありました。
どれだけ努力しても“望んだ結果に届かないことがある”という現実です。
タイムが伸びない。
レギュラーに選ばれない。
試合に勝てない。
そんな時、「努力は裏切らない」「努力は報われる」と言われると、苦しくなってしまう選手もいます。
だからこそ、私はこう考えています。
心理学や脳科学の視点から見ても、努力は結果だけで終わるものではありません。
人の脳は、失敗や挑戦の度に試行錯誤を繰り返すことで神経回路が強くなり、「できなかったこと」が少しずつ「できること」に変わっていきます。
また、人は努力する過程で自分の限界に挑戦し、工夫し、
といった、競技だけでなく人生でも役立つ力が育っていきます。
ここで大切にしたいのは、努力=がむしゃらに頑張ることではないということです。 ただ量をこなすことや、苦しさに耐え続けることだけが努力ではありません。
そうした“質のある努力”こそが、成長につながっていきます。
たとえ目標や結果に届かなかったとしても、そこで身についた集中力、継続力、挑戦する力は次の挑戦や人生の別の場面で活きてくる。そこまでの努力はあなたの中に確実に残っています。
トップアスリートの言葉の裏には、努力がすぐに結果になるとは限らない時間を何度も乗り越えてきた経験があります。
だからこそ伝えたいのは、結果だけに価値を置かず、努力を結果だけで判断しないということ。過程の中で育った大切なものを見落としてしまわないで欲しいのです。
どんな結果になっても、あなたの努力はちゃんと“力”になっています。目には見えなくても、未来のあなたを作っていることは確かです。
今日の努力は、見えない階段の一段です。今は見えなくても登っている途中ですから、安心して挑み続けてください。
